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軽自動車・小型車でトレーラーを引こう!

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私はオフロードバイクのエンデューロレースをやっており、SUZUKI RMX250という競技専用車を所有しております。その名の通り競技専用であるが故、公道を走る事が出来ません。
そこでトランスポーターとして長年軽トラを愛用しておりましたが、昨年所帯を持った事もあり買い替えを考えました。
ここで一般の人はハイエース等の商用バンを買うのですが、バイク積載時以外での使い勝手を考えると軽自動車の「小回りの良さ」を捨て難く軽自動車でトレーラーを引く事を考えました。<98年10月>

まず何は無くともトレーラーを手に入れなければなりません。しかもなるべく安く上げたい私としては程度の良い中古を探したいところ。早速バイク雑誌に「買います」情報を載せました。私の買い情報が載った号にたまたま「売ります」情報が!ちょっと予算オーバーでしたが年式も新しく一番希望していた車種だったので買うことにしました。
しかしここで問題発生、私の住まいが大阪で売り主の住まいは横浜..。軽トラで輸送する事も考えましたが、手間と費用を考えると得策とは思えません。結局、日本通運に輸送を依頼する事になりました。と言ってもそのまま全面委託したのでは10万円ぐらいかかるので、売り主さんには横浜のトラックターミナルまで牽引して、そこで分解・梱包してもらい、私は大阪のトラックターミナルまで軽トラで取りに行くという手段をとりました。これで2万5千円。しかし軽トラへの積み降ろしは結構大変でした。(車体重量160kg)
私の買ったトレーラーはサン自動車工業製フルトレーラーで、折り畳んで立ち上げ保管が出来るのが「売り」です。借りてる駐車場が月1万円でさすがに2個所借りる余裕も無いし、近くには空きがありません。今借りている全長5mの駐車場に車とトレーラーを置く必要があるのです。<99年1月>

トレーラーが手に入ればゴールは目前。(とこの時は思っていた)次に牽引車選びを開始しました。軽自動車で引く事は決めてましたが、妻と相談の結果「シートがフルフラットになる」「荷物が沢山積める」ことから1BOXで探す事に。カタログを集めたりショウルームに見に行ったりして、一番気に入ったのが「ダイハツアトレーCL」軽自動車の規格が変わってお洒落になったやつです。
気に入った車は見つかったが、果たしてその車で買ったトレーラーが引けるかどうか調べなければなりません。早速軽自動車検査協会へ行き連結検討書を作成することになりました。
しかし結果はNGでした。トレーラーを引くには車体重量,駆動軸重,最大出力,ブレーキ制動力,駐車ブレーキ制動力 この5項目全ての条件をクリアーしなくてはならないのです。
アトレーCLはブレーキ制動力で不可となりました。同じ軽1BOXでSUZUKIエブリもSUBARUディアスもブレーキ制動力で駄目でした。<99年1月>

しぶしぶ軽1BOXを諦め、他の軽自動車で検討することにしました。私のトレーラーを引くにはまず車体重量が860kg以上なければなりません。ここで多くの車が候補から脱落しました。
結局選考で残ったのは三菱パジェロミニ,ホンダZだけでした。SUZUKIジムニーもOKなのですが妻の「かわいくない」で対象から外れました。そして軽自動車検査協会へ行き、他の項目を調査すると...僅差でブレーキ制動力が不足となりました。軽自動車の名誉のために言うと、軽自動車が悪いわけでは無くトレーラーが重過ぎるのです。トレーラー自体の重さに加え、最大積載300kgというのも牽引車を限定している要因なのです。ちなみにトレーラーの売り主はISUZUビッグホーンで引いていた..。
トレーラー屋の話では軽自動車で引く場合はトレーラーの新車登録時に最大積載を200kgに減らして登録しているとのこと。これならワゴンRもMOVEもOKらしい。これを聞いて軽自動車検査協会へ「最大積載を減らしたい」と相談したが、途中で変える事は出来ないとのこと..。万事窮す
やむなく経済性を多少犠牲にして小型車で検討することにしました。

前にも述べた通り駐車場の関係で全長4m以下の車種でなれればならないので、MAZDAデミオ,三菱ディンゴ,ホンダCAPA,日産CUBE,あと冗談のつもりでSUBARUドミンゴをノミネートしました。
デミオはショールームで結構気に入りMAZDAの方も「うちで陸運に行って調べます」と話はトントン拍子に進んだが、結果は同じで制動力不足。ディンゴ,CAPA,CUBEはヒッチメンバの取り付けが困難と思われ断念。結局ノミネートの中ではドミンゴだけが連結検討書の条件もヒッチメンバの取り付けもクリアしました。
ドミンゴはすでに生産が終了しており、中古車も玉数もかなり少な目。お世辞にもカッコイイとは言えない車なのであんまり興味は沸きませんでした。
車探しが頓挫しかけた頃、中古車屋でヒッチメンバが付いたエスクードを発見。これでもいいやと思ったが、妻の「かわいくない」発令で却下。またもや振り出しに戻りました。
トレーラーが重いのなら買い替える事も考えました。(雑誌には売り広告を出した)そんなある日、中古車情報誌を見ているとドミンゴが3台だけ出ていました。「一応見るだけ見てみるか」と妻と一緒に中古車屋へバイクで出かけました。

軽1BOXと同じボディに3列シート、定員はなんと7人乗り。フルフラットにもなれぱ、運転席と助手席を回転させ2列目シートの背もたれを前に倒せば、応接セットの出来上がり。屋根の約半分がサンルーフのその名もサンサンルーフ。MT車でないのが残念だけど変速ショックのないECVTオートマ。エンジンがリアマウントなのもヒッチメンバを付ける事を考えれば好都合。多少キズがあるものの3年落ちで1万6千km、車検,諸費用込みで100万円。(ちなみに新車価格は170万円)惚れました。
ついに1ヶ月以上続いた車探しにピリオドを打ちました。<99年2月>

トレーラーと牽引車は揃いましたが、それを繋ぐヒッチメンバがありません。パジェロやSURF等のクロカン車は軽から3000ccクラスまで出そろっています。またエスティマやハイエース等の1BOXも比較的出ているようです。しかしドミンゴでトレーラー引く物好きは私くらいのもので、3社ほどあたりましたがどこにも無い。勿論これはドミンゴを買う前から分かっていた事でした。
私には切り札がありました。「無いものは作るしかない!」トレーラーを買う前に行き付けのバイク屋さん(テラノスポーツ)でワンオフで制作してもらう約束をしていたのでした。ヒッチボールとコンセントだけは通信販売で購入し、落書き程度の図面を描き車を預ける事10日余り、市販品よりも遥かに頑丈なヒッチメンバが出来上がりました。多分バックでぶつかったら車の方が壊れるでしょう。
早速自賠責保険に加入し市役所で仮ナンバーを借り、ドミンゴにトレーラーを連結!コンパクトカーなのに全長7m。感動でした。とりあえず前進する分には勝手についてくる(当然か)ので、おっかなびっくり軽自動車検査協会へ車検を受けに行きました。何度も足を運んでいる軽自動車検査協会では、顔を覚えられており手続きも検査もスムーズに終了。そして晴れて軽自動車(貨物)ナンバーを取得。実にトレーラー購入から3ヶ月が経過していました。<99年3月>

最後に残った仕事がもう一つ。私の住んでる市は軽自動車といえど車庫証明が必要なのです。借りている駐車場は1つ、すでにそこはドミンゴの車庫証明を取得しています。しかもトレーラーは折り畳み立ち上げて置いてあるのです。折り畳んでいるとはいえ、高さは2m以上あります。駐車場のオーナーには事情を説明し承諾書をもう1通発行してもらい、駐車状態を写真に撮りいざ警察署へ!担当の警察官も「こんなん初めてやからなぁ」と困惑しつつも「まあ枠内に収まってるんやからええやろ」とハンコを押してくれました。えらいぞ四条畷警察!<99年3月末>

こうしてトレーラー購入を決めてから丸3ヶ月、いくつもの問題にぶち当たりながらも多くの人の協力と理解を得て、どうにか無事に走り出す事が出来ました。特に採算度外視でヒッチメンバを制作して下さったテラノスポーツの方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。また今後トレーラー購入を考えておられる方の参考になれば幸いです。<99年4月25日>